訴訟上で和解することもできる
・訴訟のどの段階でも和解をすることができる最初から相手が話し合いに応じようとはせず訴訟を起こしてきた、あるいは話し合いがこじれて訴訟となったなど、訴訟に至るケースはさまざまです。原告の側でも、被告の側でも、通常、弁護士に頼んで、法廷で争うことになります(本人で訴訟もできます)。ただ、訴訟になっても、和解の道は開かれています。裁判官は訴訟のどの段階であっても和解を勧める(勧試という)ことができるとされています(民事訴訟法89条)。また、訴訟の当事者は、どちらからでも、あるいは双方から、裁判官に和解の申し出をすることができます。裁判官からの和解の勧告を受け入れたり、あるいは相手方の和解の申し出を承諾すれば、和解の交渉が行われます。和解の期日が指定され、裁判所の和解室(なければ裁判官室)で、裁判官が双方の間に立って話し合いを行い(実際は交互に当事者の主張や意見を聞きます)。当事者の意見が出尽くしたと裁判官が判断すると、和解案が提案されます。当事者がこれに合意すれば和解は成立します。どちらかが、どうしても和解案はのめないという場合には、訴訟が再開されます。・和解を成立させるかどうかのポイントは 平成30年中に全国の地方・簡易裁判所に起こされた民事・行政訴訟事件の新受件数は、92万2817件です。例年、約半数は和解により解決がなされているようです。勝訴の見込みがあっても、相手が徹底的に争ってくると、それこそ何年かかるかわかりません。多少譲歩して、早期に解決するほうが経済的にはプラスになるケースも少なくありません。一般的には、裁判官が和解を勧めてくるのは、争点撃理の後か、証拠調べが終了した後に行われることが多いのです。前者の場合には、裁判官は事件に対する心証を形成するに至っておらず、当事者を対話させて和解の道を探るためです。後者の場合には、ある程度の心証は形成されており、これを加味して和解を勧めるという違いがあり、裁判官の言動に注意し、弁護士とも相談した上で、和解の交渉に応じるかどうかを決めることが必要です。⭐︎ポイント裁判上の和解に応ずるかどうかは弁護士の判断を参考に。