依頼者取引先への虚偽の報告で損害を受けた場合、興信所に賠償請求できるか取引先から依頼を受けた興情所が、取引先に対してでたらめな報告をしたため、取引先から契約を打ち切られてしまい、莫大な損害を受けました。興情所に対して損害賠償請求をすることはできるでしょうか。
口探偵業者が負う義務探偵・興信所が依頼者に対して調査報告をする場合、その報告が事実に沿ったものでなければならないことは、依頼者との契約からして当然のことです第二部第一章Q8参照。報告された事実が誤っているのであれば、調査を依頼した目的が達成されないからです。また、調査の対象とされた側としても、事実無根の調査報告がなされれば、それにより多大な迷惑を被ることになります。そのため探偵・興信所が、調査対象者の名誉・信用を傷つけることがないように十分調査し、真傷を確認すべき注意義務を負っているのは当然といえるでしょう。口損害賠償請求できるご質問の事例のように、探偵・興信所が事実と反する報告をした結果、調査の対象となった会社などが掛害を被った場合、あるいは、名誉や用を毀損されたような場合、探偵の行為は不法行為民法七〇九条に当たり、損害賠償の請求ができると思われます。裁判例でも、企業の信用調査についてでたらめな報告をされた結果、取引の機会を逃したという事例について、「一般に、企業の信用調査を業として行う者が特定の企業の用に関する事実関係についての調査を銀行から依頼されたときは、真実でなく誤った調査結果によって被調査者の名誉・信用を傷つけることのないよう事実関係を十分に調査した上で慎重に報告書を作成すべき注意義務があるというべき」として、調査会社に損害賠償を命じた判決もあります東京地裁平成三年七月一九日判決・判例タイムズ七七二号二一七頁。したがって、探偵・興借所が調査を十分にせず、十分な根拠もないのに、憶測により全くでたらめな報告書を作成したような場合であれば、探偵・興信所に対して責任追及ができると思われます。